一度やってみたい
こうも しょっちゅうスタバへ来ていると コーヒーではなく
たまにはスタバでコーラを飲んでみたい。
こうも しょっちゅうスタバへ来ていると コーヒーではなく
たまにはスタバでコーラを飲んでみたい。
そのカフェは2階にあって 尚かつ、入り口がわかりにくい。
しかし、その為か中は ひっそりと落ち着いている。
僕は気に入ってしまった。
窓沿いのカウンター席でお茶しながら 通りゆく人達を
ぼんやり眺めている。
時間がゆっくり流れる。
それにしても天文館の空は やけに狭い。
HIDヘッドライトが夜の車道を照らす。
その青白い明かりは暗闇を切り裂き、正面に浮き出た景色はすぐに側面へ
流れ、また元の闇へ溶けてゆく。
窓を開けていると夜の湿気を帯びた柔らかい空気も一緒に車内を
通り抜けていく。
僕は元々車の運転は好きだが、夜の運転は特に好きだ。
BGMにはサトー・チクゼンのバラード曲がよく似合う。
朝の通勤時は「我先に」と仕事先に向かう、まるでタイムトライアルのような
車ばかりが走っているけど夜は違う。
気持ちに余裕があるのか時々すれ違う車もゆったりと走っている。
またそれは今日も1日終わったという開放感から来ているのかもしれない。
歩くのが少しぎこちない。
それは以前の病気が再発したせいではなく、昨日スポーツジムに行ったせい
だった。
通院していた病院から経過良好の話をもらったので 今回は今までよりも
少し動きの激しいマシンに挑戦してみた。
既に体を充分動かしていたようでも実際にやってみれば まだまだ使っていない
筋肉があったらしい。
お尻から太ももの裏にかけて筋肉痛になってしまった。
階段の上り下りがちょっとツライ。
ジムとプールを終え、与次郎ヶ浜にあるシネコンへ行った。
そこでは織田裕二主演の映画を観た。
織田裕二もカッコイイが、佐藤浩市もシブイ。
外国の景色が美しかったのとサラ・ブライトマンの歌声が印象に残った。
素晴らしい曲。
帰り際 いつもの某カフェに寄り、いつものようにお茶して帰る。
夜の某カフェは客が少なく静か。
僕はこの落ち着いた空間が好きだ。
自宅にたどり着いてみれば サラ・ブライトマンの歌声がまだ頭の中で
リフレインしていた。
受話器を置いた後に気が付いた。
事務所の電話でお客さんと会話している途中、僕は無意識に
頭を下げていた。
しかも 椅子から立ち上がって。
自分でその風景を想像してみたら ちょっと可笑しくなった。
見えないお辞儀でも相手にちゃんと伝わればいいな。
梅雨はとっくに明けたものの、真夏のふりをした ただ暑いだけの
偽物の夏が続いている。
そろそろ はっきりしてもらいたい。
カキーンと澄んだ青空。
堂々と上へ上へと伸びる入道雲。
むぅと こもった湿気を帯びる夏のにおい。
ホンモノの夏を僕は待ちわびている。
ところで、僕は見かけてしまった。
それは産業道路を車で走っているときのことだった。
産業道路を鹿児島市中心街方面へ走ると左手には谷山緑地が続く。
赤信号で停まってみると その緑地からはしゃぁしゃぁと せわしない
アブラゼミの鳴き声が聞こえてきた。
僕は夏場ひとりで車を運転している時には窓を全開にし、クーラーを入れない。
折角の夏が台無しだ。
セミの声が聞こえる緑地へ視線を移してみると濃い緑色をした木々が見える。
そして、ぼくは思わず声を上げた。
「あれっ?」
なんと、赤とんぼの群れが飛んでいたのだ。
僕はどきりとした。
夏のピークはもう既に終わってしまったのかと一瞬寂しい気持ちになった。
気が付けば 僕を取り囲むように僕の周りには全く知らない人達が5~6人
突っ立っていた。
その人達はまるで何かの暗示に掛かっているかのように先ほどから下を
うつむいたまま無表情だ。
誰も何もしゃべらない。
ひとりの人の顔を覗こうとした瞬間 突然、僕の体は重力に反し、瞬時に
上空へ引き上げられていった。
真上にある何か見えないチカラに呼び寄せられた。
僕は一体何処へ行くのだろう。
近くを歩いていた人の姿はあっという間に小さくなり、近接していた
ビルの屋上が見下ろせるほど上空へ浮いていく。
周りの人達も僕と同じように高速で上空へ引き寄せられているのに
相変わらずみんな無表情のままだ。
この人達はこの怪現象に気付いていないのだろうかー。
そんな事を思っているうちに 僕の乗っていた天文館山形屋の
エレベータは1階から7階へ到着した。
ここのエレベータはガラス張りになっており見晴らしが良い。
白熊を食べる為に山形屋のエレベータに乗った時の出来事だった。
間隔の空いた細い雨が黒いアスファルトを濡らしている。
空には灰色のどっしりとした100トンも ありそうな雨雲が上空に
ふたをしていた。
こんな時こそ強風が吹いて この雨雲をゴゴゴゴと動かして欲しい。
もしくは いっそのこと、最新型ダイソン掃除機でこの雨雲を吸い取ってみたい。
今日は楽しみにしていた皆既日食。
午前中、仕事の手を休めて僕は空を眺めていた。
太陽が出る瞬間を待ちかまえていたのだった。
しかし、厚い雲は僕をじらすように ゆっくりと流れ続ける。
まれに灰色の雲から 白く明るい雲になる瞬間があった。
ほんの一瞬だけ少し欠けた太陽を見る事ができたが、それきりで右手に
持っていた皆既日食メガネも出番がないまま、ついには本格的に
雨が降り出した。
日食の時間が過ぎてみると 先ほどまで点いていた街灯は再び消え、
セミが鳴き始めていた。
「どうも、お久しぶりです」
スタバでひとり、お茶していると見知らぬ男性から名前を呼ばれた。
その人は買い物の途中でスタバへ寄ったらしく、買い物袋を持ち、奥さんと
娘さんらしき人が一緒だった。
その人は僕をよく知っているらしく親しげに話しかけてくる。
しかし、僕はその人が何処の誰だか思い出せなかった。
あまりに親しげに話しかけてくるので 今更名前を聞きづらく、ありふれた
世間話で その場をしのいだ
最後に「***の現場ではお世話になりました」と丁寧に挨拶を言われ、
現場名で はっと思い出した。
僕は彼が誰なのか ようやく思い出したのだ。
普段はスーツを着て厳しい顔の人だが、この時はポロシャツにジーンズ、草履。
彼はいつもと違い、穏やかな休日のパパの表情だった。
今日も日差しが強い。
こんなに天気が良いとテンションが上がる。
気分がスカーッとする。
出来る事なら このままずっと真夏のままでいて欲しい。
ところで、明日は海の日。
夏好きな僕は夏にちなんで誕生日も 海の日であった。
先日はカミさんとふたりで誕生日飲み会をしてきた。
夏の夜のビールはサイコーにウマかった。