寂しい気持ち
梅雨はとっくに明けたものの、真夏のふりをした ただ暑いだけの
偽物の夏が続いている。
そろそろ はっきりしてもらいたい。
カキーンと澄んだ青空。
堂々と上へ上へと伸びる入道雲。
むぅと こもった湿気を帯びる夏のにおい。
ホンモノの夏を僕は待ちわびている。
ところで、僕は見かけてしまった。
それは産業道路を車で走っているときのことだった。
産業道路を鹿児島市中心街方面へ走ると左手には谷山緑地が続く。
赤信号で停まってみると その緑地からはしゃぁしゃぁと せわしない
アブラゼミの鳴き声が聞こえてきた。
僕は夏場ひとりで車を運転している時には窓を全開にし、クーラーを入れない。
折角の夏が台無しだ。
セミの声が聞こえる緑地へ視線を移してみると濃い緑色をした木々が見える。
そして、ぼくは思わず声を上げた。
「あれっ?」
なんと、赤とんぼの群れが飛んでいたのだ。
僕はどきりとした。
夏のピークはもう既に終わってしまったのかと一瞬寂しい気持ちになった。
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