歩道橋をダッシュで渡る
プシューとドアの閉まる音で目が覚めた
慌てて窓の外を見た
普段とは見慣れぬ風景が見える
またやってしまった
降りる筈の駅を通り過ぎ、帰りの電車で寝過ごしてしまった
その夜は勤務先の新人歓迎会だった
僕にとっては丁度、担当の仕事が一段落
おまけに翌日は仕事が休み
気分よく飲める夜となった
食べ物はコース料理、飲み物は飲み放題
仕事からの解放感からか、生ビールはジョッキで ぐいぐい進む
職場の仲間との会話も珍しく楽しい
帰りの電車に乗った途端に眠気が襲う
いかん、いかん
乗り過ごしたら大変
頑張って起きていなければ
そう思っていたが、いつの間にか寝ていた
目が覚めて慌てて降りた駅は滅多に降りたことの無い無人駅
電車から降りたのは僕ひとり
駅構内も駅周辺も人の気配は無かった
時刻表を見たら帰りの電車が来るまで約1時間ある
じっと待つしかない
蒸し暑い夜
そして酔いを醒ます為に自販機で冷たい水を買って飲む
再び眠って電車に乗りそびれたら、また1時間待たねばならない
降りたホームと反対側のホームのベンチに座って待っていた
待ちに待った帰りの電車が時刻通りやってきた
しかし、やって来たのは僕の待っていたのと反対側のホーム
え?
なんで向かい側のホームに電車が来るの?
とにかく向かい側のホームまで走らねば
でも電車のドアが閉まる短い間に歩道橋を渡り終え、乗れるのか
向かい側のホームに電車が停まると判断した瞬間、
僕は必至で歩道橋の階段を駆け上がり、走って階段を下りた
僕が乗った瞬間、電車のドアが閉まった
恐らく僕が乗るまで電車の車掌さんが待ってくれていたのだろう
酔った後なのに転ぶことも無く、走りきった
結構しんどかった