まだ返していない財布
実家の近所に住んでるおばさんが (鹿児島弁で)
「たまには自分の好きな本でも買って来い。」と持ってた財布をポンと
私に預けた。
そして、「本が幾らするのか知らないので財布ごと持って行け。」と言う。
受け取ってみると その財布は何年も使い古した年季の入った でっかい
ガマグチ。
(失礼ながら)財布を開けてみると小銭と一緒に紙幣が数枚、小さくキチン、
キチンと折り畳まれて入ってた。
そのおばさんは現在 年金生活でひとり暮らし。
でも、青島幸男の“意地悪ばあさん”のようにキョーレツな元気キャラだ。
財布を片手に「へー、珍しいこと言うじゃん。」と思いながら喜んで私は
近所の本屋へ行き、文庫本を1冊買った。
480円。
本屋から歩いて帰る途中、私はパッと目が覚めた。
それは今朝見た夢の中の出来事だった。
おばさんの財布は預かったまま、まだ返していなかった。