黄色い車に乗って
黄色い車に乗って旅してる。
ごつごつとした地面を運転し続けて もう何日経過しただろう。
この車は旧型のアクセルで踏めばスピードが出て、離せば停まる。
まるで遊園地のゴーカートのような仕組み。
スピードの加速が弱々しい。
走り始めた当初は鮮やかなレモン色をしていた車のボディも 砂埃のせいで
今ではくすんだカラシ色に見える。
車の天井に屋根は付いてるけれどもドアは無い。
強い日差しを避けるために屋根は必要だが、めったに雨が降らない。
この地域ではドアは必要ないと思っていた。
しかし、思いのほか砂塵がひどく、全身の穴という穴に入り込んで来る。
ドアはオプションで8,000ギルントだった。
「ドア代をケチらなければ良かったな」
僕は少し後悔した。
草原に差し掛かった時、原型の丸さを とどめていない太陽が
蜃気楼のようにゆらゆらと沈み掛けていた。
「今夜はこの辺りにしよう」
約束の目的地はまだまだ先。
車を停め、眠る為のテントを張る。
先ほどの夕日は完全に沈み 空に薄い明かりの膜がかすかに残った頃
北の空に一番明るい星が輝き出す。
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