並んでみました。
吐く息が白い。
こんなに朝早く天文館へ来たのは いつ以来だろう。
アーケード内は薄暗く、人はほとんど見かけない。
たまに目に付くのは作業着を着た、店舗へ段ボールを搬入する人達と
ヘッドライトを点けたまま通り抜けるトラック。
アーケードに飾られているクリスマスツリーのイルミネーションも今は
しんと暗く静まりかえっている。
某デパートに到着してみると既に多くの人が並んでた。
その最後尾に並ぶ。
ケータイで今の時間を確認してみたら開店の時刻はまだまだ先。
僕は持ってきた文庫本を取り出し読み始めた。
じっとしていると 地面の固いタイルの冷たさがスニーカーの靴底を
通り抜けて足裏へじんじんと伝わってくる。
寒い。
そういえば昨晩、ウチでは今シーズン初めてストーブを使った。
しばらくしてビルの屋上から太陽がようやく 「やあ、遅くなってごめん」と
申し訳なさそうに顔を出す。
温かさを期待していたのに日差しは弱々しい。
やはり今の時期、夏場のカキーンと突き刺さるような日差しとは全然違った。
開店まで残り1時間を切った頃、ようやく列が動き出した。
延々と続く長い列。
声が枯れんばかりに大声で人員整理するデパートの店員。
その店員が声を出す度に 黒や灰色のもこもことした服を着た人達が
ゆっくり移動する。
7階までエスカレーターを昇り販売会場まで来た。
「あまりの人の多さにデパート側も販売時間を早めるのかな」と僅かに
期待したが、動きも会場入り口まで。
販売開始はやはり定刻にならないと やらないらしい。
すぐ目の前にあるのに待たされるのは実際の時間より長く感じるモンだ。
店内に鳴り響く開店のチャイムと同時に販売開始。
カミさんに頼まれ、やっとの思いで買う事が出来た。
長い道のりだった。
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