憧れの香り
温泉から上がって更衣室の洗面に向かい、鏡を見る
風呂上がりの僕
ふっ、今日もいい男だぜ
僕の立ってる隣にも風呂上がりのおっさんがやって来た
おっさんも鏡を見つつ、髪を整え始める
暫くするとそちらから鼻の奥がスーッとする柑橘系の香り
それは遠い昔に嗅いだ記憶
香りを嗅いで僕はすぐに ぴんと来た
高校生の頃に使っていたヘアートニック、SHISEIDOブラバスに違いない
鏡越しにおっさんの手元を見てみたら、懐かしいデザインの瓶
やはりSHISEIDOブラバスだった
独特のガラスの瓶の形は今でも変わっていないらしい
香りも懐かしいが、瓶も懐かしい
高校生の頃はヘアトニックにどんな効果があるのか知らなかった
ただ、その香りが かっこいいと憧れていただけ
ずいぶんと背伸びしていたあの頃
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