父の気配
お仕事帰りに病院へ行ったときはベッドの背もたれが斜めに上がり、少し起き上がった状態だった
鎮静剤も弱められ、意識もしっかりしている
昨日の様子と全然違い、「回復に向かっているんだな」
そう感じられ、嬉しかった
時間も遅い
明日も仕事だ
今日は体調が良さそうなので、このまま帰ろう
帰りに近所のスーパーで売れ残っていた安売りの惣菜を買った
その晩ごはんを自宅で食ってる途中、出来事は起こった
「シャッ!」
それは部屋の窓のカーテンを強く引いたカーテンレールの音
カーテンの所には誰もいない
次の瞬間、電話が鳴った
父の入院している病院からだった
「急に再び悪化した。処置を行っているが場合によってはご家族は病院へ来てもらう事になるかもしれません」
昼間は調子が良さそうだったので、夜は安心していた
しかし家族一同、再び不安に包まれる
落ち着かない
慌ただしく食事を終えて、お風呂もそこそこに
いつ電話が来ても良いように備えた
幸いにも昨晩は電話は鳴らなかった
しかしあまり眠れぬまま朝を向かえた
またいつ、病院から電話が来るか分からない
不安な毎日
それにてもカーテンが勝手に動き、音がしたのは間違い無い
もしかしたら昏睡状態の時に父が自宅へやって来て家族の様子を見に来たのかもしれない
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