押される押される
深夜3時頃、強い風の音で目が覚めた
やはり台風はやって来た
風は想像していた以上に強い
雨戸を閉めていたのに、サッシの窓枠はぐいぐいと風で押される
それどころか、窓のガラスも風が吹く度に円弧を描く
その様子は目で動きを確認出来るほど
僕は焦った
ガラスが割れるかもしれん
もし割れたら風が室内へ吹き上がり、屋根を吹き飛ばしてしまうだろう
南側の窓ガラスを両面の手のひらで押した
強風に比べたら、僅かばかりの抵抗だっただろう
でもこの手を外したら窓が割れてしまうかもしれん
という恐怖感
焦りは増した
1時間ほど格闘は続いた
4時も過ぎた頃に少し弱まった
台風の目に入ったのか?
状況は分からない
少し休もうと横になったら、疲れていたらしく寝てしまった
どうやら台風は 目では無く、過ぎ去っていたようだった
一夜明けて自宅周辺では飛ばされたゴミや屋根瓦が散乱していた
街路樹や標識は折れ曲がり、信号機も点いていない
近所の港では大波で漁船も転覆していた
そのまま停電に入り、午後からは断水
復旧したのは澄んだ空の広がり始めた夕方だった
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