飛行機と競う当時の若者
「この道路はね、男の人が飛行機と競争して走るのよ。 うふ」
そう言われ、連れて来られたのは某空港の滑走路と平行に延びた道路
周囲には畑が広がり、他には何にも無かった
当時、僕は社会人になったばかり
車は中古のHONDAインテグラを買ったばかり
その車でドライブに出てきたところだった
その道路付近に車を停めていると、どこからかアクセル全開の音
飛行機が滑走路を走り出すと 若者の車も走り始めた
当然、飛行機の速度には かなわない
でも楽しそうだった
そして あれから相当の年数が経過している
今回、久しぶりに その道路へやってきた
周囲を見渡せば、見通しのよい直線道路は当時のまま
でも飛行機と競争している若者の車は無かった
代わりに今では 子供を連れて飛行機を見に来た夫婦、
飛び立つ飛行機にカメラを向け シャッターを切るオッサン、
何やら飛行機の専門用語で会話しているマニアックなオッサン・グループ
もしかしたら この中に当時、飛行機と競争した若者がいたのかもしれない
直線道路から飛行機を眺め、空港の屋上からも じっくり眺めた
飛行機の走り抜ける音は でかくて気持ちいい
陽が落ちるに連れ、飛行機がライトアップしてゆくのも悪くない
それは寒い夜だった
帰りに空港から坂を下った某そば屋で温かいそばを食った
うまいそばを腹いっぱい食った
満足な気分
帰り際、そば屋の水車がゴトゴトと音を立てていた
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