パン屋へ行く
某病院へ検査入院していた父が退院した。
僕は母と一緒に病院へ迎えに行った。
その帰り道でのこと。
丁度、お昼の時間帯だったので 僕は父へ尋ねた。
僕: 昼メシは、何がイイのけ?
父: パンが、よか~。
僕: パン!?、 パンで イイの?
僕の運転する車は 街中にある某病院から遠ざかり、
国道3号線を北上中だった。
僕: (このあたりにパン屋さんが、あったっけ?)
僕は運転しながら考えた。
ひとつだけ、良い場所を思い付いた。
昨年、某講座で一緒だった仲間に 紹介してもらい、
皆で来店したパン屋があったことを思い出した。
僕は慌てて、3号線をUターンした。
父の話に依れば、入院中は検査準備の為に
食事制限(ほとんど断食)で、
「病院側から ろくな食事が出なかった」
と言う。
そして、久しぶりに出た食事がパンで、
腹を空かせて食べたせいか、
そのパンは、とても ウマかったらしい。
しかも
よく考えてみれば、父はパンが大好きである。
ストアーやスーパーの店舗内の一角に
時々、パン屋さんをみかける。
父は それをみつけると、トングとトレイを持ち、
自分好みのパンを探して 楽しそうに見て回る。
右手で、トングをカチカチ鳴らしながら 見て回る。
今回は父にとって初めて行ったパン屋だった。
父: 色んな珍しい種類のパンがあって おもしろい。
と 喜び、大量に購入していた。
僕: (おいおい、食事制限が まだあるんじゃないの~?)
でも
好きな食べ物を 目の前に、本人が久しぶりに
ワクワクしている様子を見ていると、
僕は
「病院で ずっと我慢してたことだし、
今日のところは まぁ、いいか」と言う、気分である。
本人が喜んでくれて、僕も嬉しい。
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