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2018年5月19日 (土)

苦しさの上塗り

病室からは父の尋常じゃない叫び声が聞こえてきた

「ウヮー!、ガァー!」

医者の行う気管内挿管で父が苦しがっている声だ

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麻酔をしてから行うと言ったじゃないか

僕の聞き間違いだったのか

治療の判断で父を苦しめていることに心が痛い

叫び声を聞いて僕も苦しい

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転院したての午前中、父は医師へ「延命治療はしない」と しきりに言っていたらしい

それは前回の入院で気管内挿管の苦しさを知っていたからだ

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僕達家族は話し合った上で、「頑張って(退院して)戻ってきて欲しい」と父へ懇願した

父も僕達の話を聞くと「負けてたまるか、何でもやる」と言っていた

しかし父の苦しむ叫び声を聞くと、その判断は正解だったのか

ただでさえ病気で「苦しい、苦しい」と訴えていたのに、更に治療で苦しめてしまった

ここは医者のアドバイス通り、静かに死を選択した方が良かったのでは無いか

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処置が終わり、父の病室へ戻る

口には酸素補給の大きな管が入つている

管が喉を通っていることにより苦しいので、鎮静剤で眠らされている

更には無意識に管を取ってしまわないよう、両手はベッドに縛り付けられていた

これで身動きは取れない

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前回の入院ではこの方法で帰って来てくれた

実を言えば、事前の医師の説明によれば

「今回の原因は前回と違うので、挿管しても治るか非常に厳しい」

「患者本人に苦しい思いをさせず、静かに治療した方が良いのでは無いか」

(何もせず死を待つのみ の意)

そう言われていた

それでも僕達は

「父に帰って来て欲しい」願っていた

でもその思いは父の苦しみを無視した、家族の勝手な要望なのか

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父は気管内挿管を行う直前、少し意識がもうろうとする中で家族一人、一人に

「ありがとう、ありがとう、世話になった」と言っていた

僕には「最低の父親だった。すまない」と謝っていた

涙が出た

(そんなこと、無いよ)僕は言葉に出来なかった

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病気の痛みで意識が遠退く中、父は

「迎えのバスが来た。じゃぁ、乗るからね」

そう、呟いた

「乗ったらダメ!戻ってこれなくなる」

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今、父は気管内挿管を受けて強制的に眠らされ、治療を受けている

父の横になった痛々しい姿を見ていると果たして、この苦しめた治療は正解だったのか

医師の言うとおり、静かに眠らせた方が良かったのか

いまだ分からない

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