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2016年2月19日 (金)

文庫本

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父の寝ている病室で買ったばかりの文庫本を読んでいる

読むには読むが頭には入らない

文字列をただ目で追うだけだ

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この前は散髪に行ってきた

散髪屋に向かったが店に早く着きすぎた

予約の時間までまだあったので近くの本屋へ行った

時間を潰すために

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以前は仕事帰りによく本屋へ立ち寄った

ネットが今のように整備されていない頃、本屋での立ち読みは貴重な情報源だった

しかし今では本屋へ足を運ぶことは無くなった

ネットのコンテンツが充実した上に、肝心の本さえネットで買うようになったからだ

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その本屋では何処に何の本が置いてあるのか、そして、自分がどの本に興味があるのか分からなかった

店内をうろうろしてようやく辿り着いたのは文庫本のコーナー

面白そうなタイトルが平積みしてあり、そのうちの幾つかをペラペラとめくる

最近の空いた時間ではケータイばかり、だらだらと見ている

この機会に1冊買って読んでみようと思った

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飽きやすい僕が読みやすいように選んだのはエッセイ集

一桁のページ数でひとつの物語が終わる短編集だ

どうやら新聞の連載を1冊にまとめた本らしい

小銭数枚を支払い、本屋を出た

そろそろ散髪の予約の時間だ

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そして今、僕はその文庫本を手に父のベッドの横に座っている

父は人工呼吸機を付けて横たわっている

担当医から今日は病状について説明があるとの事で有給を使い、やって来た

さて、どんな話になるのか

せっかく読みやすい文庫本を選んだのに、全くもってストーリーが頭に入っていかない

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